レッスンの心得。
ある生徒さんのレッスンを始める前にこんな話が出た。
「センセイ、またお稽古を始められることが出来て、本当にセンセイには感謝しています。」
実はこの生徒さん、生徒さんといってもワタシよりも年上、40代でしょうか。
6年前に、急にお稽古を続けられなくなりました、とだけ行って、お稽古をやめた。
ところが、去年暮れお電話を頂き、またワタシのところへ来てくださることに。
胡弓を習いに来ている方なのですが、そんな急に感謝の言葉を言われて、ワタシは正直とんでもない!ってことに。
ワタシは、センセイと呼ばれる職業に就いていますが、「教えてあげる」という上からの目線での気持ちは一切持っていません。
高校生の部活とはまた感覚が違うな。
今日も休まず来てくれた、また来週のお稽古の約束も出来た。今月1ヶ月教えることが出来た、うわぁ〜1年経ったね!
その繰り返し。
生徒さんはそれぞれいろいろな生活を送っていて、その中で「お稽古事、習い事」と言われるものは一番最初に切り離そうと思えば切り離せるもので、そういう状況の中で、その時間を共有できて、ともに成長できて、何よりこの世界で繋がったということがワタシにとってはとても嬉しいことで、大変ありがたいことなんです。
またお稽古をやらせて頂いて〜だなんて、とんでもない!こちらのほうが、また来てくださってありがとうございます、なんです。
商売と同じ。
習いに来る人は、お客さんと同じ。嫌な先生だな、と思えば他の先生を選ぶ。だから絶対にその日その人を大切にしなくてはならないって、毎日思います。
そんな話をしていたら、生徒さん、泣いてしまいました。。。えぇぇぇ・・・
6年前、ちょうど嫌なことが重なったんだそうです。で、お稽古事もやっている気分ではなくなったと。
ワタシタチは、やめる理由なんて、聞けないし、聞かないし、やめるといわれれば、そうなんだ、残念ですとしかいえないのです。その人の気持ちや、その人の事情なんて、習い事のセンセイは口を挟めないのです。
でも、どんな事情であれ、生徒さんがお稽古を続けられなくなるのは、誰よりもワタシが一番悲しいです。
だから、また来てくださるお電話をいただいたときは、ワタシはとっても嬉しかったんですよ。